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母との残り日3―超刻み食

 筋力が衰えてしまい車椅子に座った姿勢もなかなか保てない母だが食欲はある。
 今は母の家となった特養施設では介護度に応じて食事は普通食、刻み食、超刻み食などと分類されて毎日の食事が用意される。
 母は「超刻み食」である。どの食材も無残に細かく刻まれ、おまけにとろみがつけられ焼き魚も肉も野菜もみそ汁も何もかもどろどろになっているがほぼ最後まで食べきることができる。その食べっぷりには残したらもったいないとか食べ物を粗末にするもんじゃないという長い間の暮らしの戒めがまだ母を縛っているのかと思わされたり、いや既に不味いという味覚すら失われてしまっているからかもしれないと母には悪いが思ったりする。
それでも時には「おいしいのお!」と感心したように言って安堵させられたりもする。
たとえ何が出てこようが好き嫌いも言わずだまって最後まで食べる―これを母の美点と言わずに認知症とだけ言って片づけられるものか。

 ただ、うまくカバーしてやらないとスプーンを口に運ぶことはできても空っぽのスプーンを食べようとしたり口に届く前にほぼこぼれてしまったりする。
 私達のためには何でもできた強い手も今はこんなにも小さくか細い。
お昼時を一緒に過ごすために母に会いに行くというのが今の私の存在価値と勝手に決めた。


      無花果


 そんな母とのお昼を過ごして帰る途中のスーパーに見事に熟したイチジクが出ていた。自分の庭のイチジクの幼木には今、三つの小さな青い実が付いているが、売りに出ているこのイチジクの見事さはどうだ。私はその誘惑には到底勝てず、すぐさま買って帰った。食べられてしまう前のイチジクふたつ。

テーマ : 生きる
ジャンル : ライフ

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プロフィール

おてんばば

Author:おてんばば
otembaba 長浜友子
(Nagahama Tomoko )
2006年からドイツとポーランドで日本語教師。大学の学生寮になぜかひとり、昔々の女学生が・・・
2008年から野の国ポーランドに再び住み始め、スケッチと簡素な暮らしの不自由さを楽しんだり、嘆いたり。
ポーランド語訳付 tłumaczenie na język polski:Judyta Yamato

2010年10月帰国

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