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母との残り日4―嚥下体操

 
 母の住む特別養護老人施設は看護や介護のスタッフが五、六十人、利用者は約百人程である。
その労働の現場は肉体的な大変さばかりでなく、人生の終末期という人たちばかりに向き合うという陰鬱さもあろう。
 介護度が高めの利用者50人ほどが集うホールでの昼食前に嚥下体操という時間が5分ばかりある。首や肩、ほっぺた、舌を動かし、発声練習、深呼吸と続くのだがマイクを握るスタッフの声だけがむなしく響いている。その声に反応して動ける人はここにはもう何人もいないのだが若いスタッフたちは毎日交代で、この張り合いのない呼びかけをするのが決まりになっているらしい。
 誤嚥性肺炎で入院済みの母にとっては特に大事な時間だ。首や腕はどうにか私の手を添えて動かせてもほっぺたを吸ってへこませたり膨らませたり、舌を出して左右に動かそうという段になるとお手上げだ。「田んぼのた、タ、タ、タ」「カラスのカ、カ、カ、カ」に手拍子はしても口は開かない。嚥下体操にはならないがま、いいか。
「今日が一番若い」と誰かが言ってたように、やれることが少しでもまだ残ってる母の今日が一番若いのだから。
 
みょうが

 我が家の車庫の背中に沿ってみょうがを少し植えてある。今年は10個ほど採れた。その小ぶりな姿をかきとどめておこうとするぐらい貴重な収穫だったのだが、店先には豊富に出回っていた。くれる人もあった。そんなわけで少ない収穫にも関わらず今年もずいぶんみょうがを食べた。物忘れは気にしない、というより既に手遅れだろうと思っている。

テーマ : 生きる
ジャンル : ライフ

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プロフィール

おてんばば

Author:おてんばば
otembaba 長浜友子
(Nagahama Tomoko )
2006年からドイツとポーランドで日本語教師。大学の学生寮になぜかひとり、昔々の女学生が・・・
2008年から野の国ポーランドに再び住み始め、スケッチと簡素な暮らしの不自由さを楽しんだり、嘆いたり。
ポーランド語訳付 tłumaczenie na język polski:Judyta Yamato

2010年10月帰国

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