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母との残り日6--お世辞

 以前なら子供達の心配を仕事のように繰り返していた母も今では子の顔すら定かではなくなった。
 それでも時折記憶が蘇るのか何をか案じて私に「¦¦気をつけろ」とか「めごいのお」などといきなり言葉のかけらを投げてくることがある。そんな時は笑い話のように聞くしかないのだがなぜか体の中を暖かい涙が流れるように感じる。きっと老いて呆けた母に未だにほめられたり甘えたりしたい自分が居るのだろう。
 その母に今日も昼食後のうがいをさせ、入れ歯を洗い、締め括りに温かいタオルで顔と手を拭いてやったのだが、いつもなら「はい、終わったよ、さっぱりしたのお。」などと話しかけて部屋に戻るのが、なぜか今日はその心地よげな顔を見て、「美人になったよ、母さん」とお世辞が思わず出た、すかさず、びっくりするほど明るい明瞭な声で「あ、そう!」とイキイキ答えたのには虚を突かれた。
 会話はほとんど成り立たずしゃべる声も低く聞き取れないことが多い母の日常だが小さなお世辞へのこの鋭い反応はどうだ。ちょっとしたほめ言葉で一瞬でも母を明るくできた喜びには切なさもよぎる。恐らく幼子も若者も誰でもいや年寄りにはもっとそれ以上に、愛されほめられることが生きる喜びなのだ、と思い知る。

    ミニカボチャ
         
 近くに住む昔の職場仲間がくれたミニカボチャを描いてみる。濃く暗い緑とはなやかな朱色のコントラストが見せどころとでもいうようなこの小さなおもちゃのようなカボチャにひとしきり付き合って冬の日の午後のいっときが過ぎた。

テーマ : 生きる
ジャンル : ライフ

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プロフィール

おてんばば

Author:おてんばば
otembaba 長浜友子
(Nagahama Tomoko )
2006年からドイツとポーランドで日本語教師。大学の学生寮になぜかひとり、昔々の女学生が・・・
2008年から野の国ポーランドに再び住み始め、スケッチと簡素な暮らしの不自由さを楽しんだり、嘆いたり。
ポーランド語訳付 tłumaczenie na język polski:Judyta Yamato

2010年10月帰国

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